イスラム国による日本人拉致事件の件である。その前にパリの編集社襲撃事件があったとき「パリにはしばらく近づかない方がいいのでは」と思ったり、すると今回の事件が起こり、彼らの日本も十字軍入りしたとみなす声明を読んだときは大変怖くなった。在外邦人である。これから普通に道を歩いていていきなり誰かに襲われるようなことが起こる確率が増えるのではないかと思ったりした。これからはますます注意をして外を出歩くようにしたいと思っている。
危険なところには近づかないようにしたいし、危険そうな人たちから狙われないようにしたい。出来るだけ警戒心の強そうな態度で振る舞わなければと思っている。また狙ったところで大した価値の無い人物と思われたいと思う。休日以外は財布には5ユーロ以上入れない。クレジットカードも入れないし滞在許可証はコピーしか入っていない。蚤の市で買った3ユーロのカバンで、履き古したスボンとニット帽で、私とすれ違う人は、私のことをどこかのお宅のクリーニングに行くのかとでも思うかもしれない。
スリも泥棒もいるし、横断歩道を渡ればクルマは突っ込んでくる。お店で先に入っても後から入ってきた人が平気で先に用を済ませようとする。奪われるのはお金や命だけではないのかもしれない。そんなことばかり考えて生きていたら周りからはさぞかしカリカリした人間に見えることだろう。イタリアに来て私はそんな風に考えるようになった。イタリアに来ていなかったら、日本でテレビを通してぼんやり事件について眺めていただけだろう。